公的保障

年金保険の3つの役割

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歳をとってからもらう年金だけじゃない!

年金というと、歳をとってからもらうもの、と思っていらっしゃる方が大半かと思います。いわゆる「老齢年金」ですね。

若い世代の負担する保険料が、今の高齢者の「老齢年金」として支給される「世代間扶養」に基づいた日本の年金制度。少子高齢化に伴い、年金保険料の支払い者と老齢年金受給者の数のバランスが崩れ、若い世代は不利益を被っているのではないかという不安が広がっています。

しかし日本の年金制度は老齢年金だけが役割ではありません。他にも遺族年金、障害年金というとても大事な役割を担っています。

遺族年金とは、子どもを遺して親が亡くなった際に支給される年金です。18歳(高校を卒業するまで)の子ども一人に対し、年間100万円ほどが支給されます。仮に0歳児を遺して、父親が亡くなると、養育者である母親は国から100万円の遺族基礎年金を18年間受給できます。総額1,8000万円にものぼるこの保障、年金制度が担う責任の重さはご理解いただけるのではないでしょうか?

高齢期においても夫が先立ち未亡人になった方を支えるのも遺族年金です。会社員OBであった夫が亡くなるとそれまで夫が受給していた老齢厚生年金の75%を妻が一生涯遺族厚生年金として受け取ることができます。特にお勤め経験が少なく自身の老齢年金が少ない高齢女性にとって、この遺族年金は大きな支えとなるでしょう。

未納が一番の損です

例えば20歳の大学生A君とB君がバイク事故を起こしたとしましょう。運悪く二人とも深刻な障害を背負ってしまい、障害者1級と認定されました。

しかしここで運命の分かれ道に遭遇します。A君は国民年金の保険料は支払っていませんが、「学生納付特例」を申請していました。B君は国民年金の保険料は支払っていないのはA君と同じですが、学生納付特例の申請を怠っており保険料未納として督促を受けていました。

A君は障害基礎年金を約100万円受給することになりました。障害の程度が改善されない限り一生涯受け取ります。B君は残念ながらなんの保障も得ることができません。なぜなら年金保険料未納だからです。

世の中には、困ったときに国から支援を受けるのは「社会福祉」として当然と思っている方もいらっしゃるようですが、じつは障害者支援も遺族支援も「社会保険」なので当然保険料を納めている加入者のみが必要なときに年金を受給できる「権利」を有するものなのです。

特に老齢年金は、ただ加入していれば良いというものでもなく、20歳から60歳までの40年間のうち25年以上の保険料の納付期間が受給のための要件となっています。例え24年と11ヶ月、保険料を支払ったとしても、1円も老齢年金の受給ができないのです。

経済的に保険料の負担が難しい場合でも、「未納」はいけません。未納は保険料納付義務を怠ることなので、全ての年金受給の権利を失ってしまいます。

もし保険料納付に問題がある場合は、役所に相談しましょう。学生であれば、「学生納付特例」が、30歳未満の方の場合は「若年者納付猶予制度」があります。それ以上の年齢の方であれば、「保険料の全額、あるいは一部免除制度」が利用できます。これらの制度は、保険料の支払いを猶予あるいは免除してもらいながら、受給権利については守られるので国のセーフティネットの全てを失うことがありません。(制度によっては老齢年金の金額には反映されないこともありますので、詳細は役所にお尋ねください)

また年金保険の財源の半分は税金で賄われている事実も忘れてはいけません。保険料を支払わずにいると、万が一のときの受給権を失ってしまいますが、その年金資金の半分は税金として、未納者であってもすでに負担しているお金なのです。自分がしはらった税金分の権利まで失ってしまうのは、とてももったいないことだと思いませんか?結局未納が一番損なのです。

年金制度は、保障範囲が広くまた受給するための条件が複雑なため、マスコミも制度のごく一部だけを取り上げて話題にします。しかし話題にされない部分にこそとても大切なことが隠されていたりするので、安易な損得で保険料を払わないなどとはせず、きちんと制度を理解していただければと思います。

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著者 / Author

山中 ヤマナカ  伸枝 ノブエ   心とお財布を幸せにする専門家

金融機関や企業からの講演依頼の他、マネーコラムの執筆や書籍の執筆も多数。 個人相談も多く手がけ、年金、ライフプラン、資産運用を特に強みとしており、具体的なソリューション提供をモットーとしている。株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役。

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