基礎知識

公的保障から考える、民間の終身医療保険は必要なのかどうか?

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公的保障から考える、民間の終身医療保険は必要なのかどうか?

保険は若いうちに入るべき!は本当?

民間の保険は、健康状態が悪いと加入条件に制限が設けられたり、そもそも契約ができなかったりします。加入者の万が一のときにきちんと保障した金額をお届けするには、それなりの資金とリスク管理が必要だからです。万が一の備えは、万が一が起こってからでは遅いのです。

また年齢が上がると病気にかかるリスクや死亡のリスクが高まります。民間保険の保険料はリスク度合いに応じて変わるため、20代で加入する保険料と50代で加入する保険料を比較すると絶対的に後者の方の保険料が高くなります。そのため保険にはなるべく若いうちに加入すると良いという考え方もあります。

また保険料の支払い方も、二通りあります。一生涯の保障であっても、60歳や65歳までと年齢を区切って保険料を支払う方法と、保障期間中ずっと(一生涯の保障であれば、保険料の負担も一生涯)保険料を支払う方法もあります。年金生活になってからの、毎月の保険料払いは大変だから、現役のうちに将来分も先払いしてしまおうと考える方は、前者を選ぶことになります。

今回は、特に一生涯の医療保障について、高齢期の公的保障と照らし合わせ、民間保険の必要性を考えたいと思います。

実は皆保険制度は危機的状況

日本が福祉の道を本格的に歩み始めたのは1960年代です。高度成長期ですね。当時会社員が自己負担する医療費はゼロ、国が全額保障していました。1970年代には、老人の医療費負担がゼロになりました。その後少子高齢化が進み、数々の変遷を経て今のような医療保障制度になりました。

変遷の方向性としては、保険料のアップと給付の縮小です。例えばみなさんご承知のとおり、現在高齢者の医療費負担は1割負担です。後期高齢者の医療費制度が導入された2008年は、それまで高齢者の医療は完全無料だったところ、いきなり自己負担をしなければいけなくなったことへの反発抑制もあり、74歳までは1割負担と特別措置がとられていました。しかし2014年4月1日以降に70歳になった方からは特別措置は適用されず、74歳までの医療費自己負担は2割へと引き上げられました。

それだけではなく、今議論されているのは、年金収入の額によっては、高齢者にもっと保険料を負担してもらう、また高収入の現役サラリーマンにも、もっと保険料を負担してもらおうなどと、国民皆保険制度存続のための問題解決の糸口が模索されています。

若い世代は国の保障の動向に注意して民間保険を考える

公的保障のこれからを考えると、特に若い世代では今以上に社会保険料が上がり家計で使えるお金が減る中で、社会保障の給付はますます厳しくなるのは必須と思って民間保険を考える必要がでてくるでしょう。今までであれば、高齢者の医療保険は公的保障が充実しているので、民間保険は不要あるいは最低限の保障で十分との考え方もできましたが、今後は自己負担が増える分、民間医療保険の保障がもっと必要になってくるかも知れません。

ただ今からその負担をカバーするために手厚い民間の医療保険、特に一生涯保障が続く終身に契約すべきかなのか、というとそれは早計でしょう。第一負担しなければならない保険料が家計を圧迫してしまいます。

あくまでも筆者の個人的な考えではありますが、民間医療保険は、将来適時見直すことも考え、「今」必要な保障をできるだけ安く準備すればよいかと思います。そして公的医療保障の変化に伴い解約あるいは変更することも視野にいれ、保険料の支払い方は先払いにせず、終身払いにしておいた方が良いのではないかと思います。

公的保障の動向を見ながら、民間保険とうまく付き合って行く方法、ご参考になれば幸いです。

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著者 / Author

山中 ヤマナカ  伸枝 ノブエ   心とお財布を幸せにする専門家

金融機関や企業からの講演依頼の他、マネーコラムの執筆や書籍の執筆も多数。 個人相談も多く手がけ、年金、ライフプラン、資産運用を特に強みとしており、具体的なソリューション提供をモットーとしている。株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役。

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