基礎知識

『掛け捨ての保険って損じゃないですか?』

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はじめに

「嬉しいボーナス付き!掛け捨てではありません。」

テレビ、新聞・雑誌、ネットなどで繰り返される保険広告の中でも、何らかの戻り金をメリットにうたうキャッチコピーは本当に多いですね。それらは『ボーナス』や『お祝い金』といった言葉のオブラートに包まれて、実に耳障りがいいものです。

短絡的な“掛け捨て嫌い”はもったいない

確かに「掛け捨て」という言葉には“掛け金をドブに捨てる”様な響きがあって、元来貯蓄好きといわれる日本人が“勿体ない”という思いに駆られるのも無理はありません。あなたも保険料が一部でも戻ってくる方が、掛け捨てよりも「お得」だと感じませんか。

結論から先にいうと、掛け捨ての保険は決して「損」ではありません。そして『ボーナス』や『お祝い金』といわれる戻り金は必ずしも「お得」とは限りません。典型的なケースで比較してみましょう。

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上記のケースは理解し易くするために大まかな数字を置いているだけですが、戻り金とはいっても、その分多く支払った保険料が戻ってくるだけで、どちらが「お得」ということではないのはおわかりいただけるかと思います。

しかも上記のケースはより多く支払った100万円がそっくり戻ってくるからまだ良いのですが、保険によっては様々な保障が組み込まれ、いわば“元本割れ”の様な状態の『ボーナス』や『お祝い金』であることも少なくありません。

このように全く同じ条件で「掛け捨て」と「戻り金あり」を比較出来れば正しい判断も出来るのですが、実際には戻り金が付いた分、保険料をどの程度余分に払うことになるか、分かり難いことが戻り金付き商品への盲信を招いているといってよいでしょう。

「掛け捨てではありません」というキャッチコピーをまさに“額面通り”受け取っていると、保険料の内訳次第では「嬉しいボーナスやお祝い金」も「嬉しくない」結果になってしまうわけですから、短絡的な“掛け捨て嫌い”は逆にもったいないと思うのです。

貯蓄は他の金融商品でも可能

保険に加入する第一の目的は、不測の入院や死亡に対する経済的リスクの補てんのはずです。資金作りが目的の場合もあるにはありますが、貯蓄は他の金融商品でもできます。しかし、保障は保険でなければ得られないものです。

そうした保険だけに備わる機能を最もシンプルに、低コストで提供するという意味で、掛け捨ての保険には大きな価値があるといってよいでしょう。

さて、ここまで「ボーナス付き」や「お祝い金付き」の商品と掛け捨ての比較を例に論じてきたわけですが、その他にも満期金が受け取れる「養老保険」や解約返戻金がある「終身保険」といったいわゆる『積立タイプ』の商品についても触れておきたいと思います。

歴史的に見て、戦後は国策による「国民貯蓄推奨運動」のもとで“保険といえば養老保険”といった風潮が形成されて以降、1980年代には終身保険へとシフトしながら現在に至るまで、積立タイプの商品が保険販売の主力とされてきました。

但し、必要な保険金額を全て積立タイプの商品で準備するには、保険料はかなり高額になります。35歳男性が保険金額2000万円の保障を用意するケースを見てみましょう。

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このように終身保険には、一生涯の保障があって、一定期間以上経過すると払込保険料以上の解約返戻金が戻ってくるメリットがある一方、保険料はかなりの高額になってしまいます。

そこで実際には、上記の定期保険と終身保険を組み合わせることによって、“子どもの独立まで”といった一定期間の必要保障額と、一生涯の保障や老後の資金作りを確保するのが一般的となっています。このようなセット商品を「定期付き終身保険」といいます。

あくまでも必要に応じて組み合わせる

つまり、「ボーナス付き」や「お祝い金付き」の商品にしても、「定期付き終身保険」にしても、保険料の一部は結果的には「戻る」と同時に「掛け捨て」になっているのです。損得ではなく、必要に応じて組み合わせる…というのが合理的な保険の入り方となります。

ところで、掛け捨て保険の是非を議論するたびに、私は住宅選びにおける「賃貸派」と「持ち家派」の終わりなき議論を思い浮かべます。

賃貸は持ち家と比べて多額のローンを背負いこむこともなく、いつでも気軽に好きな場所で、その時のライフスタイルに合った住まいを選べるというメリットがあります。最近は高級賃貸マンションも増え、フレキシブルな生活をおう歌する高額所得層も多いと聞きます。

そんな賃貸の合理性を理解しながらも、“毎月家賃を捨てているようで勿体ない”という根強い「持ち家信仰」が存在するのも、どこか日本人の潜在的な“掛け捨て嫌い”に通じているような気がするのです。

そこには合理性だけでは説明できない“こだわり”や“価値観”といったものが大きく影響しているものです。いかにロジカルに保険選びについてアドバイスを受けたところで、最終的にはあなたの入りたい保険が、あなたにとっていい保険ではないでしょうか。

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最新保険ランキング編集部

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